個人的におすすめなテキスト 数学へん

高専生といえばみんな大日本図書のテキストをつかってる*1という思い込みに基き, それを補足するようなテキストを紹介してみるテスト.
出来は悪いわけじゃないんですけどね. 個人的には妥協の産物というか, 政治的理由でああなってしまったというか. うちの学校の先生曰く,

もっと高度な内容も入れたかったんだけどね, 強固に反対されちゃって. あんまり学生に教えたくない人がいるみたい.

とのこと.

とはいってもあまり詳しいわけではないので, 自分で探すことは大事ですよ. 面白い本がないと思っても学校図書館を覗くことを進めます. なんてたって教える教員の推薦図書も寄贈図書も多いからね.

高専の数学
http://www.morikita.co.jp/bunya/2-1.html
大日本図書シリーズ
http://www.dainippon-tosho.co.jp/products/m_kousen.html

基礎数学分野では特に推薦するものはありません. せめて言うならば, 演習問題が足りない場合には大学受験の問題集くらい. 長岡「本質の研究 数学」シリーズなどが良いよう. だが範囲が重複してそうでしてないことも多いので要注意. 教科書も簡単な計算ならそれなりに扱っているので問題ないとは思いますが.

微分積分分野については, 基本的な計算はあつかっているのでとりあえずは十分です. しかし大学教養レベルについて正確さが不足しているので, それを補うべきだと思います. また級数の扱いについてもそうでしょうか. 前者については, 小林「微分積分読本」, 同「続 微分積分読本」を勧めます. これにはまったく演習を含まないので, それを補うことと級数の扱い方などのために 斎藤「微分積分学」がいいでしょう. 究極的には杉浦「解析入門 1,2」なり高木「解析概論」などを読むべきなのでしょうけど. わたしは読んだことがないのでわかりませんが. 他には, あまり話題に挙がることはないですが, 溝畑「数学解析 上,下」というものもあります. これは話題の並び等が独特ですが, はまる人にはいいのではないかと思います.

線形代数については, 佐武「線型代数学」と斎藤「線型代数入門」が有名です. 佐武「線形代数」(共立講座21世紀の数学)というものもありますが, 間違えると残念な気分になれます. あまりに内容が異なるので. 大日本図書の「線形代数」の次としては, 永田「理系のための線型代数の基礎」がお勧めです. また長谷川「線型代数―Linear Algebra」というものもあります. これは二次元,三次元の場合の話から始まり, 復習や計算練習にも良いでしょう. しかし雑誌の連載の再編集ということもあり, 広く話題をあつかっているので読む順番が難しいかもしれません. まったく必須ではありませんが, より抽象度の高い話として 斎藤「線形代数の世界―抽象数学の入り口」というものもあります. あとはもう少し安ければちくま学芸文庫の「ラング線形代数学 上,下」もお勧めできます.

あとは微分方程式及び応用数学分野として, 矢野他「解析学概論」を勧めておきます. これでひとおりの計算については大丈夫です.
ベクトル解析については, 深谷「電磁場とベクトル解析」を.

というか岩波書店の現代数学への入門シリーズはどれもお勧めです. (まだ読んだ本は少ないですが.)どっちかというと自分が読みたいです. 図書館に入れてください(笑 所在が研究室だと借りにくいです.

最後に再びですが, 自分で本屋で確認して見るのが一番じゃないでしょうか. あとは数学だけに限るわけではないですが, 教科書とは別にその分野のテキストを読んでみるといいと思います. どこまでが筆者の主張する重点で, どれが一般に認められている重点なのかが判断できるようになり, 客観視できるということで.

*1:学校によるみたいですが